思い出すだけで心震える1990年前後。当時中学生だった私は70年代ファッションに憧れヒッピーと言う言葉が好きだった。チェックのシャツにフレアパンツ。思い出しただけでも心が躍る。当時フレアパンツに合わせた8ホールのブーツ、そうDr. Martensである。
当時今でこそキャラ変してしまったいしだ壱成氏、今ではマッスルカリスマ武田真治氏らがファッションリーダーとして我々の頂点にいた。そんなフェミ男たちにインスパイアされピチTでへそ出しでパンクファッションなどにも手を出していた。70年代の憧れもありファッションの一部としてSex Pistolsなんかも聴いてみたりした。
そんな2大コンテンツがコラボレーションしてしまったと知ってしまったら気にならないわけがない。ネットで新型コロナの情報をキャッチアップしていた時にふとコラボの広告を目にした瞬間そのバナーをクリックしていた。
コラボレーションのプロダクトは3種類。8ホールブーツ、3ホールシューズ、スモールバックパックだ。8ホールブーツはかっこいいのだがシンプルなのだ。せっかくのコラボ商品なら派手に行きたい。直感的に3ホールシューズをポチっていた。

Dr. Martensは昔は大好きで今も好きなのだが黄色いステッチを堂々と履くには年を取りすぎた。好きだけど履きづらい、そこに黒くてステッチが目立たずSex Pistolsのアナーキー感満載のこのシューズは今の自分でも履きたくなる要素で溢れていた。

― ANARCHY―パワーワードである。ここまで派手なシューズは流石にいつもは履かないがこのシューズは特別だ。フェミ男に寄せていた頃の真逆であるがシンプルなファッションにこのシューズを合わせたい。英字のプリントの入った白いTシャツにデニムそれにこのシューズででかけてみたい。それにジャケット羽織ってオフィスにも行ける。

実はこのコラボ待望の初コラボではない。なのになぜ今回これほどまでに心揺さぶられたかというとこのDESIGNにである。ただの英字新聞風ではない。ここにリアルなストーリーがあるのだ。
1976年、TV番組に出演したセックス・ピストルズが、番組の司会者ビル・グランディとのやりとりの間で放送禁止用語を連発した「ビル・グランディ事件」。
Dr. Martens公式HPより
これに英国中が息を呑みました。ほとんどの人々はセックス・ピストルズのような“もの”を見たことがなかったのです。
ましてや、夕方の6時放送のニュース番組で卑猥な言葉が飛び交うなど、想像もしていなかったことでしょう。
これは全国的なスキャンダルに発展し、英国のマスコミはこれまでに見たことがないほどの激しい憤りを煽りました。しかし、この出来事はパンクにとって重要な瞬間となりました。
わめきちらす無礼なアナキズムを無意識のうちにメインストリームに引き込み、ミュージックにおける新しい姿勢を国民に見せつけたのです。
これにより世にセックス・ピストルズを知らしめ、無政府的、反体制的、そして若者の反乱が生まれ変わることとなるのです。このコレクションでは「ビル・グランディ事件」で生まれた国民の激怒を綴った新聞記事を、ドクターマーチンのシルエットに投影。
ここに惹かれて即購入。若い世代にどう映るかさっぱり検討もつかないが少なくとも私にはガツンと突き刺さりヘビロテして行きたいと思っている。